2004 年 93 巻 5 号 p. 1026-1031
環境汚染とアレルギーの関連に関しては,従来よりその可能性について指摘されているが,今なお様々な議論がある.疫学調査において,いくつかの研究で花粉症の出現率やスギ花粉IgE抗体保有率の増加について,花粉飛散数以外に大気汚染による影響を考えざるを得ないと結論づけているが,一方で大気汚染と花粉症の関連は必ずしもはっきりしないとしている報告もみられる.実験的研究においては,大気汚染物質のうちディーゼル車排出微粒子に, IgE抗体産生, Th2サイトカイン産生,ケモカイン産生,ヒスタミン遊離能,局所過敏性のそれぞれに対する増強作用を認めることが明らかになっている.環境汚染とアレルギーの関連は,定性的にはかなりの証拠が得られているが,定量的な面の検討が必要であり,その意味で疫学調査が今後さらに進められることが期待される.