抄録
免震建物の高層化により、建物の耐風性能に配慮した設計が必要となる。特に弾性すべり支承を有する免震建物においては、平均成分をもつ風方向風力を受ける場合、風応答せん断力が耐震設計で設定したすべり出し荷重を下回っても滑りだす可能性があるため、変位が想定以上に増大する恐れがある。変位が増大する原因を考察するため、先行研究ではすべり材の摩擦係数と変位増大の関係性を示した。しかし、先行研究は強制変位を与える実験方法であるため、実際の風荷重とは異なる。
本報では、免震建物の風応答変位を精査するため、平均成分を有する風方向荷重を模擬した荷重制御加振実験を行い、荷重比やガストファクターが変位増大に及ぼす影響について検討を行った。