2025 年 39 巻 5 号 p. 675-681
目的:心拍数(仰臥位)は人間ドックの基本検査項目の1つである.学会が定める判定区分において異常なしの区分は45~85拍/分,生活習慣改善後の再検査の区分は40~44拍,86~99拍/分である.この設定区分の根拠,また予防医療の観点から心血管疾患の危険因子としての位置付け,高心拍例への対応をとりまとめることである.
方法:心拍数の基準範囲は,日本人間ドック・予防医療学会が収集した大規模データから算出した.心拍数が循環器疾患の危険因子としての重要性をとりまとめた.心拍数の判定区分を容易に理解するために,収縮期血圧,心電図所見との関係に関する論文を探った.また高心拍数が生活習慣に関係することから,心拍増加に関する生活習慣の報告をとりまとめた.
結果:学会が収集した79万人余りのデータから,安静時心拍数は64.6±10.2拍/分であり,基準範囲は44.7~84.6拍/分であった.これは他の健診データと相違はなかった.過去の報告を通じて,高心拍は収縮期血圧上昇や心電図ST低下などの所見と並んで,独立した心血管疾患死亡リスクであることを示した.疾患を有しない高心拍例の改善の生活習慣は,運動,禁煙,節酒,健康的な食生活の継続が有用であることを示した.
結論:心拍数は血圧と同様に重要な循環器病危険因子であることを確認した.これを踏まえて心拍数の基準範囲,予防医療の観点から心拍数の意義・位置付け,高心拍例での改善方法をとりまとめた.