日本人間ドック・予防医療学会誌
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臨床経験(活動報告)
当健診センターにおける梅毒血清学的検査の長期的推移
高柳 俊明
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キーワード: 梅毒, TPLA, RPR, 生物学的偽陽性
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2025 年 40 巻 1 号 p. 63-69

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抄録

目的:2013年頃より日本国内では梅毒患者の増加が認められている.北海道,札幌市では特に2022年から急増している.当健診センター受診者間で梅毒患者数の増加があるのか調べた.また健診従事者として報告すべき症例を提示する.

方法:対象は当健診センターにおいて2016年10月から2024年4月の期間内に梅毒検査を受けた受診者.対象となる期間に3種類のTPLA(treponema pallidum latex agglutination)試薬と1種類のRPR(rapid plasma reagin)試薬を使用し検査した.TPLA≧5U/mL,≧10T.U.または≧1.0COIを陽性,RPR≧1.0R.U.を陽性と定義した.TPLA(+)RPR(+)を現感染パターン;TPLA(+)RPR(-)を既感染パターン;TPLA(-)RPR(+)を生物学的偽陽性パターン;TPLA(-)RPR(-)を未感染パターンと定義し,その年間数を調べた.

結果:当健診センター受診者間で梅毒患者数の増加は認めなかった.健診従事者として報告すべき5症例を提示した.

結論:当健診センターにおける梅毒患者数の傾向と症例の報告をした.また参考になる5症例を報告した.今後梅毒感染診断における健診の果たす役割が大きくなることが予想されるため,我々健診従事者も梅毒の最新の正しい知識を得る必要がある.

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