2025 年 40 巻 1 号 p. 57-62
目的:超高齢社会を背景に前立腺がんの罹患数は増加傾向であり,沖縄県における年齢調整死亡率は高い現状である.当施設では前立腺がんの早期発見・早期治療のためPSA(prostate-specific antigen)検査の周知と受診者数増加を図ることを目的に『PSAキャンペーン』を実施し,実施前後の受診者数(率),要精査の追跡調査結果等を比較検討した.
方法:受診前の郵送資料にキャンペーン内容が分かるリーフレットを同封し周知した.研究期間は2年間とし,前立腺がんの既往がない50~75歳の男性を対象とした.
結果:取り組み後,PSA検査の受診者数が有意に増加,74.1%が同取り組みの利用者であった.また,要精査となった場合,紹介状作成時に医療機関名を明記することが精査受診者数の増加につながった.
結論:受診者数増加が多くの前立腺がんの早期発見・早期治療につながったことで同取り組みは有効であったと考えられる.検査が必要な方に「受ける」を選択してもらうため,リーフレットでの情報提供と,『キャンペーン』や『割引』という言葉のもつ特別感やお得感が受診者数の増加に結びつき,前立腺がんの早期発見・早期治療に寄与したと考えられた.