日本人間ドック・予防医療学会誌
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臨床経験(活動報告)
健診施設に特化した心電図緊急連絡所見
―医師への確認基準策定とその効果―
髙梨 英理日浦 麗松尾 史朗大眉 寿々子本間 智美野田 𠮷和
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2025 年 40 巻 3 号 p. 586-593

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抄録

目的:医療安全の目的で健診施設に特化した緊急性の高い心電図所見リスト(医師への確認基準)を作成し,業務に活用した.運用開始から1年が経過したので,その効果について検証した.

方法:2023年9月1日~2024年8月31日の1年間にJA神奈川県厚生連JA健康管理センターさがみはらにて心電図検査を受けた20,864名(男性10,680名,女性10,184名)を対象とした.確認基準にもとづいて心電図をチェックし,基準に合致する心電図所見が認められた場合には,胃X線検査と肺機能検査の実施の可否を医師に確認することとした.

結果:医師への確認は300件/年であった.これは1年間の心電図検査総数20,864件の1.4%にあたる.300件のうち要精査と判定されたのは129件(43.0%)であり,胃X線検査,肺機能検査の中止は30件(10.0%),11件(3.7%)であった.心電図検査総数に対する胃X線検査,肺機能検査の中止率は,それぞれ0.14%,0.05%である.医師への確認事由として最も多かったのは,心室期外収縮頻発であった(98件,31.6%).以下,検査担当者が判断に苦慮する心電図所見(83件,26.8%),急性心筋梗塞の疑い(51件,16.5%;うち心筋梗塞の新規診断2名),新規発症心房細動の疑い(31件,10.0%;うち新規診断20名)の順であった.確認漏れは2件のみであった.随伴効果として受診者サービスの改善,検査技師の心電図診断能およびスタッフ満足度の向上などが得られた.

結語:確認基準の作成・運用は,医療安全のみならず日常業務にもさまざまなよい影響をもたらした.

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© 2025 公益社団法人 日本人間ドック・予防医療学会
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