マラウィは、アフリカにおいて、ナイジェリアおよびガーナと並んで、年金制度に個人勘定の確定拠出年金を取り入れている3か国のうちの一つである。2011年前には、マラウィの年金規制は税法のわずかな規定とマラウィ準備銀行の通達があるだけであった。政府や企業は自発的に年金制度を作り、その数は2009年時点で約600であり、確定給付年金の場合も確定拠出年金の場合もあった。2011年から施行された年金法の下では、既存の制度を 取込みつつ、個人勘定の確定拠出年金主体に運営することになった。2017年からは35歳以下の公務員(軍や警察等一部の組織に所属する公務員を除く)を 取込み、資産残高は順調に伸びている。移行時において35歳超の公務員は旧制度に残しているので、移行の負担は軽い。また株式運用のリスクをとっていることも特徴的で、今のところインフレ率を上回る収益を上げている。Covid-19の影響もあり、雇用主の拠出延滞が増加している。受給権が個人勘定残高として明確なこともあり、年金資金の早期払い出しニーズは強く、法改正に盛り込まれる予定であるが、残高を引出されると最終的な年金額が少なくなる点を監督当局は懸念している。年金制度の適用率は労働人口の1割程度と低いこともあり、この制度とは別に高年齢者への一律現金給付も議論されている。