年報政治学
Online ISSN : 1884-3921
Print ISSN : 0549-4192
ISSN-L : 0549-4192
〔特集〕 政党研究のフロンティア
自民党結党直後の政務調査会
―健康保険法改正問題の事例分析―
奥 健太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 67 巻 2 号 p. 2_120-2_143

詳細
抄録

近年, 筆者は自民党政権の政策決定手続きの特徴とされる 「事前審査制」 の通説を修正する説, すなわち事前審査制が自民党結党直後の1955年から始まったとする見解を発表した。このことを前提とすると, 自民党政務調査会は, 結党直後から事前審査の中心機関として, 与党内部ならびに政府与党間を調整する役割を果たしていたと考えられる。そこで本稿は, 1956年の健康保険法改正問題を事例として, 当時の政調会が果たした役割を分析した。

 結論としては, 結党直後の政調会が平時であれば政策調整機関として, 政府与党間, 与党内部で政策を具体的に調整する機能を持っていたこと, その一方で事態が政局化すると政調会の果たす役割は限定的であったことが明らかになった。

著者関連情報
© 2016 日本政治学会
前の記事 次の記事
feedback
Top