年報政治学
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《公募論文》
政党の公認戦略と地元候補
―規定要因としての選挙結果
西村 翼
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2020 年 71 巻 2 号 p. 2_280-2_302

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抄録

本研究の目的は、「政党は誰を公認し、それを規定する要因は何か」 との問いに対し、地元性という属性に注目して検討することである。地元候補は個人投票を有するため議席確保に貢献する一方、政党規律に対して自律的であるために党の一体性を損ねる。よって、政党は地元候補の公認を巡り、議席確保と一体性保持のどちらを取るかというジレンマに陥る。Shugart et al. (2005) 等の研究は選挙制度によって候補者の属性を説明してきたが、これには同一選挙制度下での属性の多様性を説明できない等の限界がある。そこで本研究は、選挙区毎の選挙結果という選挙制度よりもミクロな要因によって、候補者の地元性を説明する。具体的には、政党は前回敗北し苦戦が予想される選挙区では地元候補を擁立して議席確保を優先し、余裕のある選挙区では非地元候補を擁立して一体性保持を図ることで、2大目標の両立を図ると主張する。独自に作成した自民党の衆議院選挙候補者データを用いて行った実証分析の結果、以上の仮説は支持された。

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© 2020 日本政治学会
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