本論文では、大政翼賛会の中央協力会議の整備過程と運用状況を考察し、会議が 「下情上通」 の機能を発揮した状況を分析する。中央協力会議の意義・役割を再評価するとともに、翼賛体制における民意の表出と反映の状況をさらに解明する。
本論文の考察から、以下の事実が分かった。制度上、中央協力会議の 「下情上通」 機能に限界・制限があった。とはいえ、女性のような参政権をもたない国民も中央協力会議の会議員に選任された。また、各回通常会議では数多くの議案が提出され、国民生活安定化などの内容も有していた。相当の数の議案が政府に送付され、その一部が政府によって行政命令公布、政策起案を以て実現された。このようにして一定の程度で中央協力会議を通じて民意が表出され、政府に伝達され、政府の行政・政策決定に反映された。
以上の事実に基づき、中央協力会議は一定の程度で 「下情上通」 の機能を発揮した、という結論が得られた。また、中央協力会議を通じた民意の表出、政府の行政・政策決定への民意の反映が確認され、翼賛体制における民意の表出と反映の状況をより正確に把握できた。