抄録
ニホンモモンガPteromys momongaは,自然生息地において,巣材としてスギCrytomeria japonicaの樹皮を好んで用いることが知られている.本研究では,ニホンモモンガがスギとヒノキChamaecyparis obtusa,それぞれの樹皮でつくった巣の内部の保温効果,及び,それぞれの巣材の繊維の形状が調べられた.結果は,スギの樹皮でつくられた巣の内部はヒノキの樹皮でつくられた巣の内部より高い保温効果をもつことを示唆していた.また,スギ樹皮からつくられた巣材繊維は,ヒノキからつくられた巣材繊維より,長く,細いことが示された.