自然環境科学研究
Online ISSN : 1883-1982
Print ISSN : 0916-7595
北海道東部における林床に設置された残材堆積物のエゾリスによる利用
南 佳典小野寺 海渡村尾 直哉吉川 朋子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 32 巻 p. 21-25

詳細
抄録
北海道にはエゾリスおよびアカネズミが生息しており,オニグルミの堅果を貯食する習性をもっている.これらの動物は大型種子を分散貯蔵する.森林生態系における立枯木や倒木はそれ自身が主要な資源である.樹木伐採後の残材は,立枯木や倒木と同様な機能をもつと考えられる.本研究では,エゾリスがいくつかの残材堆積物を利用していることを報告し,林床における残材堆積物の重要性を議論することを目的とし,残材堆積物のどの属性がエゾリスの利用に影響しているかを検討した.その結果,エゾリス食痕数に対して残材堆積物のオニグルミ母樹からの距離で負の関係が,残材堆積物を構成する材の本数で正の関係がみられた.エゾリスは残材堆積物を安全な採餌場所として利用していると考えられる.
著者関連情報
© 2019 公益財団法人平岡環境科学研究所

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top