熱処理
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学術論文
熱間金型用合金工具鋼SKD61のプラズマ窒化処理における前処理としてのローラバニシング加工の影響
宮本 潤示南部 紘一郎吉田 昌史奥宮 正洋
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2022 年 62 巻 6 号 p. 278-284

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抄録

従来のプラズマ窒化処理法では,深い窒化層を形成させるためには長い処理時間を要する。したがって,処理速度を向上させるため,プラズマ窒化処理法を含めた複数の処理法を組み合わせるハイブリッド処理に関する報告が近年増加している。しかし,これまで報告されているハイブリッド処理では,表面性状を維持したまま窒化処理速度を向上させることは困難であった。そこで,工具鋼の電子ビーム励起プラズマ窒化処理法の前に試料にローラバニシング加工を施した。本研究では,窒化層の形成における前処理としてのローラバニシング加工の影響を明らかとした。ローラーバニシング加工を施した試料では表面粗さが減少し,窒化層の深さは未処理の試料と比べて20~30μm程度増加する傾向が見られた。さらに,ローラーバニシング加工の条件により最表面に形成する化合物層が抑制されることが明らかとなった。これにより表面粗さが低く,窒化層の形成が速い処理技術の基礎を築き上げた。

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