熱帯農業研究
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研究報文
加温ハウス栽培におけるマンゴー9品種の成熟日数,積算温度,追熟日数および果実品質の比較
内野 浩二 篠原 和孝腰替 大地
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2023 年 16 巻 2 号 p. 53-62

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抄録

本研究の目的は,‘Irwin’以外の品種の導入に当たり,生産者が品種選択するための基礎的な情報を提供することである.本研究では,加温ハウス栽培において9品種の成熟日数,積算温度,追熟日数および果実品質を比較した.材料には,以下の品種を用いた:‘甘近星’,‘Ataulfo’,‘Bailey’s Marvel’,‘Carrie’,‘Golden Nugget’,‘Irwin’,‘Jubilee’,‘Mallika’および‘Tahar’.成熟日数は,‘Irwin’(117日)に比べて,‘Tahar’では109日と短く,‘Bailey’s Marvel’では142日と長かった.積算温度は,‘Irwin’(2,000℃・日)に比べて,‘Tahar’では1,851℃・日と小さく,‘Bailey’s Marvel’では2,496℃・日と大きかった.追熟日数は,‘Irwin’(6.6日)に比べて,‘Ataulfo’および‘Bailey’s Marvel’では8日以上と長く,これらの品種は輸送性に優れるものと考えられた.果皮の色相角度は,‘Irwin’に比べて,‘Jubilee’では小さい傾向であり,赤色がより鮮明であった.果実重は,‘Irwin’に比べて,‘Jubilee’では大きく,‘Ataulfo’および‘Carrie’では小さかった.糖度は,‘Irwin’に比べて,‘Ataulfo’,‘Bailey’s Marvel’および‘Golden Nugget’では高かった.酸度は,‘Irwin’に比べて,‘甘近星’,‘Ataulfo’,‘Bailey’s Marvel’,‘Golden Nugget’および‘Mallika’では,高い傾向であった.本研究において,‘Ataulfo’および‘Bailey’s Marvel’は輸送性に優れ,‘Jubilee’は果皮の赤色が優れ,‘Ataulfo’,‘Bailey’s Marvel’および‘Golden Nugget’では高糖度であったことから,これらの品種は我が国のマンゴー生産・流通において有望な品種であると考えられた.

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© 2023 日本熱帯農業学会
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