熱帯農業研究
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原著論文
光質と光強度がエンサイ(Ipomoea aquatica Forsk.)の花芽形成と草丈に及ぼす影響
佐々木 大井上 直人倉内 伸幸高垣 美智子
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2012 年 5 巻 1 号 p. 15-19

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抄録

光条件がエンサイの花芽形成と伸長成長に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.供試材料は,台湾で流通しているエンサイの在来系統である.試験に用いたクローン苗は植物育成用蛍光灯を用いて,光照射量が光合成有効光量子束密度(PPFD)200 μmol m-2 s-1の14時間明期条件下で栽培した.光スペクトル,照射時間及び光照射量を変えて,人工光を30日間照射した.実験1: 花芽形成と伸長生長に及ぼす光スペクトル及び照射時間の影響は,LED光源のみを用いて調べた.処理区は青色(B),緑色(G),赤色(R)区であり,照射時間はそれぞれ1日10,12,14時間とした.光照射量はすべての区で,クローンの頂端においてPPFD 200 μmol m-2 s-1となるよう調節した.実験2: 青色の光照射量が花芽形成に及ぼす影響をみるため,青色LEDのみを用いて,光照射量をクローンの頂端においてPPFDが50,100,150,200 μmol m-2 s-1となるように実験区を設けた.照射時間は1日あたり10,12時間照射の2条件とした.実験1の結果,草丈はいずれの照射時間でもB区で有意に高くなった.花芽はB区の10,12時間照射区において形成されたが,GとR区では形成されず,14時間照射区はいずれの処理区でも花芽形成は認められなかった.実験2の結果,花芽は10時間照射区の100,150,200 μmol m-2 s-1区および,12時間照射区の200 μmol m-2 s-1区で形成された.光照射量の増加に伴って,花芽形成までの日数は有意に短くなるとともに,花芽数は増加した.

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© 2012 日本熱帯農業学会
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