2018 年 39 巻 4 号 p. 172-178
カルボニル基が三つ連続した構造を有する隣接トリカルボニル化合物は,その中央のカルボニル基が高度に活性化されているために,水,アルコール,チオール,芳香族アミンといった求核種と無触媒で付加反応が進行する。この付加反応は可逆的であり適当な条件下で脱離反応が進行するため,隣接トリカルボニル構造を利用してネットワークを形成させることで可逆的な架橋-解架橋系を構築できる。本稿では著者らの一連の研究を軸に,隣接トリカルボニル化合物の反応性を利用した架橋反応によるネットワーク形成および解架橋によるポリマーリサイクルを概観する。