ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総合論文
  • 七里 徳重
    2026 年47 巻3 号 p. 172-182
    発行日: 2026/05/10
    公開日: 2026/05/27
    ジャーナル 認証あり

    光カチオン重合を利用したエポキシの光遅延硬化型接着剤について2 件の話題を報告する。1 件は光遅延硬化型接着剤の重合メカニズムを,光酸発生剤から出るプロトンの1H-NMR によるトレースにて解析する。特に,硬化遅延剤として使用するクラウンエーテルがプロトンを捕捉する挙動に注目した。もう1 件は,近年叫ばれるサステナブル社会に寄与する材料として,光遅延硬化型接着剤を加熱することにより架橋が切れて弾性率が下がる易解体性接着剤とできたので報告する。接着剤は加熱により液状または低弾性の樹脂となり接着力を低減できる。以上,一連の技術により接着から解体までのプロセスが可能な接着剤を提案する。

総説
  • 松本 章一
    2026 年47 巻3 号 p. 155-171
    発行日: 2026/05/10
    公開日: 2026/05/27
    ジャーナル 認証あり

    有機多孔性材料は,分子構造や材料特性の設計が可能であり,ガス貯蔵,CO2 吸収,分離膜,水処理,汚染物質除去,光触媒,エネルギー変換,電池,エレクトロニクス,バイオ・医療,食品など様々な分野で利用されている。有機多孔性材料のひとつである多孔性ポリマー材料は,その組成,構造,特性,用途が多様であるため,各々の材料に対して,あるいは類似する材料に対して異なる名称が用いられる傾向があり,誤解や混乱を招きがちである。本稿では,多孔性ポリマー材料に関する研究開発の動向を把握するために,最近10 年間に報告された主要な総説を材料の種類や用途・分野別に分類し,さらに幾つかの代表的な多孔性ポリマー材料の作製方法や構造ならびに機能や特性について概説する。また,研究開発の最新状況と今後の方向性についても述べる。

報文
  • 三木 恭輔
    2026 年47 巻3 号 p. 126-136
    発行日: 2026/05/10
    公開日: 2026/05/27
    ジャーナル 認証あり

    多くの濃度で調製したゲル化剤溶液および高分子溶液の粘弾性挙動を統計力学モデルによって解析する。二段階の緩和過程に関する統計力学的取り扱いで算出したモデル曲線によってゲル化剤溶液の損失ずり弾性率の周波数依存性を正確に表現できることを確認した。統計力学モデルと複合並列モデルを使ってゲル溶液の損失ずり弾性率の実験値からゲル粒子及び網目成分の損失ずり弾性率曲線の最大値を算出する。損失ずり弾性率曲線の最大値から求めたゲル化剤溶液と高分子溶液の緩和要素の分子量に関する情報に基づいて, 各々のゲル溶液の構造的な特徴を明らかにする。

  • 松尾 由布, 三村 研史, 西尾 寛太朗, 原田 美由紀
    2026 年47 巻3 号 p. 137-145
    発行日: 2026/05/10
    公開日: 2026/05/27
    ジャーナル 認証あり

    環境負荷低減が期待されるバイオマス原料を絶縁材料に適用すべく,脂肪族構造からなるバイオマスエポキシ樹脂に,ビフェニル基を有する芳香族アミンを異なる当量比で配合し,その架橋構造が機械特性に与える影響を評価した。3 点曲げ試験にて測定した曲げ強度は,硬化剤を化学当量の2 倍配合した系で最大の198 MPa を示し,当量配合系の約1.3 倍であった。同配合系では貯蔵弾性率が高温まで保持され,高温域における曲げ強度も当量配合系を上回った。また,ガラス転移温度は192 ℃であり,当量配合系と比較して約80 ℃高い値を示した。本系の偏光観察では,数百μm の配向ドメインが複数観察された。このドメインは平板状のビフェニル基の配向によるものと推察される。配合割合の最適化により,架橋に加えてビフェニル基の密な配向が形成され,高温まで分子運動が抑制されることで,機械特性が向上したと考えられる。

  • 高野 剛志, 一二三 遼祐, 冨田 育義
    2026 年47 巻3 号 p. 146-154
    発行日: 2026/05/10
    公開日: 2026/05/27
    ジャーナル 認証あり

    エポキシ樹脂硬化物は優れた耐熱性や機械的特性を有し,電子材料や接着剤はじめ,様々な分野に用いられているが,架橋構造を有するためリサイクルが困難である。本研究では,熱硬化性樹脂のケミカルリサイクルに資する手法への展開を目指し,酸によるエポキシ樹脂硬化物の分解挙動を検討した。その結果,例えばビスフェノールA 骨格を有するエポキシ樹脂硬化物をトリフルオロメタンスルホン酸(5 当量)存在下,ジクロロメタン中,室温で1 日間反応させると,ジクロロメタンに不溶であったエポキシ樹脂硬化物が徐々に消失し,可溶性の生成物が得られた。グリシジルフェニルエーテルとアニリンとの反応により得られる低分子モデル化合物(N,N-ビス(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)アニリン)を用い,同条件下における反応挙動を検討した結果,C-N結合やC-O 結合の切断は進行しなかったことから,エポキシ樹脂硬化物の本分解反応はビスフェノールA骨格中のイソプロピリデン基と芳香環との結合が選択的に切断されていることが示唆された。

feedback
Top