ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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総合論文
  • 佐藤 浩太郎
    2026 年47 巻4 号 p. 227-236
    発行日: 2026/07/10
    公開日: 2026/07/24
    ジャーナル 認証あり

    精密重合は,一次構造が明確に定義された高分子の合成を可能にしてきた。しかしながら,高分子ネットワーク構造は本質的な不均一性および不溶性を有するため,その精密な制御と解析はいまだ困難である。本総合論文では,活性種や重合機構に基づく従来の分類を超えた精密重合システムに関する我々の最近の研究と,それらを高度な高分子ネットワークへ応用した成果についてまとめる。特に,RAFT 末端基を介した重合機構変換,ラジカル/カチオン可逆型リビング重合,分岐型ポリ(ビニルアルコール)の精密合成,選択的に分解可能な高分子ネットワーク,および制御/リビングクリック重合に重点を置く。とりわけ,分解可能な分岐点および活性種変換は,解析可能で構造制御されたネットワーク高分子の設計を可能にした。これらの研究は,精密高分子合成と制御可能かつ解析可能なネットワーク構造を統合することが,高機能かつ持続可能な高分子材料の開発に向けた有望な戦略であることを示している。

報文
  • 利光 史行, 竹内 規貴, 古荘 義雄, 森 茂樹, 遠藤 剛
    2026 年47 巻4 号 p. 188-198
    発行日: 2026/07/10
    公開日: 2026/07/24
    ジャーナル 認証あり

    グリシジルメタクリレート.(GMA)と2- ヒドロキシエチルメタクリレート.(HEMA)をテトラヒドロフラン溶媒中,2,2’- アゾビスイソブチロニトリル.(AIBN)を開始剤としてラジカル共重合を行った。共重合はスムーズに進行し,対応する共重合体であるP(GMA-HEMA)を高収率で得た。共重合比はモノマーの仕込み比にほぼ対応した。つぎに,共重合体中のエポキシ基にジシクロヘキシルアンモニウムヨウ素.(DCAI)を介したCO2 の取り込み反応により,効率的に五員環カーボナートを形成させ,側鎖に環状カーボナート部位を有する共重合体P(MA5CC-HEMA)を得た。この共重合体は非プロトン性極性溶媒への良好な溶解性を示した. 。等量のMA5CCとHEMA からなる本共重合体は,側鎖のエポキシがhexamethylenediamine.(HMDA)や1,3-bis.(aminomethl)cyclohexane.(1,3-BAC)による開環重合で架橋することでネットワークポリマーを形成した。さらに,hexamethylene. diisocyanate.(HDMI)と錫触媒による付加反応でHEMA の水酸基を架橋したネットワークポリマーにも誘導できた。

  • 山﨑 博人, 峰松 春妃, 神田 泰治, 豊栖 健太郎
    2026 年47 巻4 号 p. 199-208
    発行日: 2026/07/10
    公開日: 2026/07/24
    ジャーナル 認証あり

    β-CyD(β-シクロデキストリン)の存在下,PVA(ポリビニルアルコール)をホルマール化することでPVA/β-CyD ビニロン薄膜を調製し,ビニロン薄膜の改質を図った。PVA/β-CyD ビニロン薄膜はpH. 1 に調整したβ-CyD とホルマリンを溶解した15.wt%.PVA 水溶液を,コロナ処理をしたPET フィルム上に225.μm の溶液高さで塗布後,60. ℃恒温槽中で24. h 静置して調製した。得られたPVA/β-CyD ビニロン薄膜は,固体13C. NMR測定,水の接触角測定,表面摩擦係数測定,引張り強度測定等により,評価した。PVA/β-CyD ビニロン薄膜極表面にはβ-CyD 成分が偏って多く存在していることが,NMR 測定よりわかった。β-CyD 成分の導入により,ビニロン薄膜の膜質は厚く硬くなり,伸びは低下,強度は上昇,濡れ性は低下,摩擦係数は上昇するという特性が付与された。

  • 岩村 武, 岩村 咲緒梨, 金森 知太, 足立 馨
    2026 年47 巻4 号 p. 209-217
    発行日: 2026/07/10
    公開日: 2026/07/24
    ジャーナル 認証あり

    機械解繊により得られたセルロースナノファイバー(CNF)水溶液を用いて,水ガラス(WG)共存下,CNF/SiO2 比が11.1/88.9 となるように調製した溶液を室温で1 時間撹拌した。撹拌後,40 ℃で10 日間静置し,さらに60 ℃で48 時間減圧乾燥することにより比較的透明なポリマーハイブリッドが得られた。得られたポリマーハイブリッドは原料CNF と比較して10%重量減少温度(Td10)が増大し,結果的にポリマーハイブリッド化によって耐熱性が向上することが明らかになった。一方,2,2,6,6- テトラメチルピペリジン.1- オキシル(TEMPO)酸化による化学解繊セルロースナノファイバー(TOCNF)を用いて,WG 共存下,TOCNF/SiO2 比が90/10 となるように調製した溶液を室温で1 時間撹拌した。撹拌後,40 ℃で10 日間静置し,さらに60 ℃で48 時間減圧乾燥することにより比較的透明なポリマーハイブリッドが得られた。TOCNF を用いてポリマーハイブリッド化した場合には,WG の使用量を増加させた際にTd10 が増大し,ポリマーハイブリッド化によって耐熱性が向上する傾向が認められた。

  • 永井 大介, 小林 由佳, 吉田 恵, 岡本 衆資
    2026 年47 巻4 号 p. 218-226
    発行日: 2026/07/10
    公開日: 2026/07/24
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,アミノ基を有するポリアリルアミン(PAA)と二硫化炭素(CS2)との反応により得られるチオウレア架橋型PAA ハイドロゲルを用い,各種pH 指示薬および万能指示薬の固定化挙動を検討した。得られたPAA ハイドロゲルはアミノ基を有しており,水中でカチオン性を示すことから,酸性基をもつ色素をアニオン化した状態でイオン結合により固定化できる特性を示した。4 種のpH 指示薬を用いて固定化挙動を検討したところ,いずれの指示薬もゲルに固定化され,水中において指示薬固有の可逆的な色変化を示した。また,色素の酸性度や電荷特性に依存した固定量の違いが明らかとなり,PAA ハイドロゲルがアニオン性色素を選択的に固定化し得る材料であることが確認された。さらに,複数色素を含む万能指示薬についても固定化が可能であり,得られたゲルはpH3 〜9 の広い範囲で連続的な色変化を示した。MALDI-TOF. MS の解析により,万能指示薬に含まれる全ての色素成分がゲル中に固定されていることが確認された。加えて,万能指示薬固定化ゲルは酸性条件下で体積膨潤を示し,光学応答と機械応答が同時に発現する材料であることが明らかとなった。以上より,PAA ハイドロゲルはアニオン性分子の効率的な固定化と水中での安定な応答が可能な機能性材料であり,簡便で再利用可能なpH センサーや刺激応答デバイスとしての応用が期待される。

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