本稿では,これまでに宇宙機・航空機部材として開発されてきた,代表的な熱可塑性および熱硬化性芳香族ポ リイミド樹脂について俯瞰する。また,これまでに報告されている高分子材料の耐電子線性に触れ,さらに非平面・非対称構造を有するモノマーを使用した「熱可塑性芳香族ポリイミドフィルム」と「熱硬化性イミドオリゴマー樹脂」のそれぞれが,ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の膜面材料として使用された実績,ならびに,航空機高温部材向け高耐熱性炭素繊維複合材料の母材樹脂として研究開発が進められてきた成果を紹介する。
米糠成分の一つであるmyo-イノシトールを原料として用い,アダマンタン類似の剛直なオルトエステル骨格 をもつトリエポキシドを合成した。myo-イノシトールから,橋頭位の置換基の異なるオルトエステル誘導体を 合成し,その3 つのヒドロキシ基をアリル化,さらにアリル基中の炭素- 炭素二重結合をエポキシ化することで,目的のトリエポキシドを合成した。得られたトリエポキシドとジアミン類の重付加反応によってネットワークポリマーを合成し,熱重量分析および示差走査熱量測定を実施した。その結果,橋頭位の置換基がかさ高くなるにつれ,分解温度やガラス転移温度が低下する傾向が明らかになった。
剛直なスピロアセタール骨格は高耐熱性・高強度・高屈折率などの多様な高機能性材料の開発のための有用なビルディングブロックとして期待される。しかし,スピロアセタール骨格を有する高分子の合成例は限られており,特にネットワークポリマーへの応用例は少ない。本研究では,ペンタエリトリトール由来のスピロアセタール骨格を有する二官能ビニルモノマーおよび二官能アリルモノマーと多官能チオールとのチオール-エン反応を基盤とした新規ネットワークポリマーの合成を目的とした。
材料強度よりはるかに低い応力が作用している状態で溶剤と触れることで発生する損傷をソルベントクラックと呼ぶ。これまでに筆者らは同時重合メタクリル/ウレタンポリマーブレンドについて報告した。本論文では,そのポリマーブレンドの架橋度が破壊靭性およびソルベントクラックに与える影響を調べた。その際,メタクリル鎖をウレタン鎖で一部架橋させるために,メタクリル鎖にイソシアネートと化学結合し得るヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を共重合した。いずれの架橋度でもポリウレタンドメイン周辺に複数のクレーズが発生し,ポリメチルメタクリレート(PMMA)よりも高い破壊靭性を示した。一方,ソルベントクラックについては,PMMA および架橋構造を有さないPMMA /ウレタンポリマーブレンドには溶剤接触により大規模なき裂が生じたが,HEMA.5.42.mol%共重合ブレンドではき裂発生が抑制された。架橋によりメタクリルマトリックス相の分子鎖の運動性が制限されたためと考えられる。
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