ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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総合論文
  • 山手 太軌, 斎藤 瑞樹, 橋本 裕輝
    2026 年47 巻2 号 p. 88-95
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/27
    ジャーナル 認証あり

    生成AI の進化は,より多層化した画像処理装置(GPU)を要求するため,銅張積層板(CCL)に大きな電場が発生し,高温に達する。そのためCCL 樹脂層に低誘電で且つ,高いガラス転移点(Tg),低い熱膨張率(CTE)が求められる。しかしながら,それらの特性の追求はトレードオフの関係であり,有用な材料の創出が求められてきた。これまでリビングアニオン重合から導かれる1,2-ビニルユニットは低誘電に優れることが報告されている。本論文ではこの重合方法を用い,耐熱性を付与した変性1,2-ポリブタジエン(PB)共重合体(ブロック共重合体)を合成し,高い耐熱性と低誘電性を両立した材料を解析し,その効果を示す。

  • 梶 正史
    2026 年47 巻2 号 p. 96-105
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/27
    ジャーナル 認証あり

    4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルエーテルを4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテルと反応させることにより結晶性の硬化物が得られることを見出した。結晶性硬化物は,Tg よりも高い温度に位置するTm に対応して優れた耐熱性を有するとともに,結晶化による分子鎖のパッキング性向上により,低熱膨張性,低吸湿性および高熱伝導性等において優れた特性を示した。次に,硬化剤として4,4’-ジヒドロキシビフェニルを用いた結果,Tmは59.8 ℃向上して245.6 ℃となった。また,4,4’-ジグリシジルオキシベンゾフェノンからも結晶性の硬化物が得られ,Tm は230.9 ℃に向上した。さらに,耐熱性向上のために架橋構造の導入を狙いとして,硬化剤として4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)の適用を検討した。硬化剤中の50 wt% をDDS とした結果,得られた結晶性硬化物のTg は51.3 ℃向上し169.0 ℃となった。また,結晶性硬化物を成形材料として評価した結果,アルミナを94 wt% 充填した硬化物の熱伝導率は6.9 W/m・K であり,汎用のビスフェノールF 型エポキシ樹脂からの硬化物に対して約2 倍の値となった。

  • 西田 裕文
    2026 年47 巻2 号 p. 106-119
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/27
    ジャーナル 認証あり

    連続炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のクリープを抑制するために,マトリックスとしてTg レスエポキシ樹脂を用いる手法を検討した。このTg レスエポキシ樹脂は,標準的な液状エポキシ樹脂をカルボン酸のアルカリ金属塩で硬化させることで容易に得られる。この樹脂は硬化後300 ℃の高温でも貯蔵弾性率があまり低下せず,ガラス状態を維持し,同時に損失正接はすべての試験温度範囲で低く,応力緩和がほとんど起こらないことを示唆している。本研究では,本樹脂系の硬化メカニズム並びにTg レス化メカニズムの解明を試みるとともに,実際にCFRP を作製してクリープ特性を評価した。一方,硬化したTg レスエポキシ樹脂の脆性は,ナノゴム粒子で改質することで克服できた。3 点曲げモードを使用したクリープ. テストでは,16 wt%のナノゴム粒子を含むTg レスエポキシ樹脂のクリープひずみ速度が50 時間のテスト後にほぼゼロに達することが示された。

解説
  • 高原 渉
    2026 年47 巻2 号 p. 78-87
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/27
    ジャーナル 認証あり

    マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は材料開発の現場に急速に浸透しているが,ネットワークポリマーは三次元網目構造を一意に記述しにくく,材料系の表現設計がMI 適用の成否を左右する。本稿では,ネットワークポリマーに対するMI タスクを「複数の構成要素から定義できる場合のタスク」と「代表構造が定義できる場合のタスク」に大別し,実務に即したアプローチ選択の指針を整理する。前者では,配合比,材料種別,プロセス条件などを中心にテーブルデータとして設計する重要性を,熱硬化性樹脂コンポジットの事例を用いて解説する。一方,後者では,(1)記述子ベース,(2)グラフニューラルネットワーク(GNN)などを用いる構造ベース,(3)Transformer などを用いる系列ベースの三つのアプローチについて,それぞれの特徴と適用場面を示す。さらに,本稿で示したMI アプローチを踏まえ,実務導入における留意点と今後の本領域の展望について述べる。

報文
  • 松本 幸三, 秋山 涼亮, 大塚 響平, 後藤 颯馬
    2026 年47 巻2 号 p. 68-77
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/27
    ジャーナル 認証あり

    チラミンとエピクロロヒドリンからチラミントリエポキシド樹脂(TTE)を合成した。TTE に臭化リチウム触媒の存在下で二酸化炭素を作用させることでチラミントリカーボナート樹脂(TTC)を合成した。TTC にジアミン硬化剤として4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(TODA),またはm-キシレンジアミン(mXDA)を化学量論量添加し100 ℃で24 時間加熱して樹脂硬化物を合成した。熱重量分析の結果,5% 重量減少温度はTTC/TODA 硬化物で215 ℃,TTC/mXDA 硬化物で208 ℃となり,両硬化物ともに熱分解し易い材料であった。示差走査熱量分析,フィルム引張試験の結果,TTC/TODA 硬化物は,ガラス転移温度-22 ℃,弾性率0.76 GPa,最大強度14.2 MPa で,室温でゴム状の柔軟な材料であった。一方,TTC/mXDA 硬化物は,ガラス転移温度62 ℃,弾性率6.8 GPa,最大強度152 MPa で,室温でガラス状の硬い材料であった。ステンレス基板に対するせん断接着力を測定した結果,TTC/TODA 硬化物は19.3 MPa で,TTC/mXDA 硬化物は2.4 MPa であった。リパーゼおよびプロテーゼ溶液を用いた酵素分解実験の結果,TTC/TODA 硬化物は吸水率の増加が見られ分子ネットワーク構造の崩壊が示唆されたが,TTC/mXDA 硬化物はほとんど変化が見られなかった。

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