2019 年 40 巻 2 号 p. 63-69
6 位に種々のアルキル基が置換したDBU(Alkyl DBU)の合成を行うとともに,ビスフェノールA 型ジグリシジルエーテル(DGEBA)との硬化挙動の検討を行い,エポキシ樹脂硬化剤としての性能を評価した。示差走査熱量測定(DSC)を用いて考察したところ,無置換のDBU を用いた硬化系は55 ℃と100 ℃に小さな発熱のピークが観測されたのに対して,Alkyl DBU を用いた系では125 ℃に小さな発熱ピークと200 ℃に大きな発熱ピークが見られた。硬化物の作製を行ったところ,いずれも不溶性であり透明な硬い硬化物が得られた。さらに特性を評価したところ,Alkyl DBU 類は,DBU を用いた場合と比較してゲル分率が高く,収縮率,耐熱性が優れた硬化物が得られた。これらの結果から,Alkyl DBU 類を用いた硬化系では,熱潜在性と高活性を併せ持つ硬化剤として期待できる。