ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
総説
改質剤ポリマーのin situ 生成による相容性向上に基づく 熱硬化性樹脂の強靭化
大山 俊幸
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2020 年 41 巻 1 号 p. 26-38

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抄録

改質剤ポリマーをモノマーの状態で熱硬化性樹脂に溶解したのちに,樹脂の硬化反応と並行して改質剤モノマーの重合を行うことによって硬化物の強靭化を達成する「in situ 重合法」について,最近の研究成果を紹介する。In situ 重合法では,改質剤をモノマーの状態で添加するため硬化前の樹脂の粘度が低下し成形性が向上する。また,硬化初期の相容性が高くなることにより,改質剤をポリマーとして添加した系よりも樹脂硬化物/改質剤の相分離構造がより細かい状態で固定されること,およびこの微細な相構造に基づいた強靭性の向上が達成されることが期待される。高耐熱性ビニルポリマーであるN- フェニルマレイミド-スチレン共重合体(PMS)などのin situ 生成により,エポキシ樹脂/硬化剤からなる硬化物のみならず,カチオン重合硬化脂環式エポキシ樹脂やシアナート樹脂,ベンゾオキサジン樹脂などの強靭化が達成されており,本稿ではそれらの成果について紹介する。

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© 2020 合成樹脂工業協会
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