抄録
本研究の第1報では, ビニルシクロヘキセンオキシドの付加重合体をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂 [1] は酸無水物硬化において, 硬化温度が高くなるにつれてTgが高くなる傾向のあることを報告した。本報では硬化物の固体NMRによる解析を行い, この現象の解明を試みた。
酸無水物による低温での硬化では硬化物中のエポキシ基の残存量が多く, 硬化温度が高くなるにつれてエポキシ基の残存量が少なくなることが確認された。これより, Tgはエポキシ基の反応率に対応していることが明らかになった。
さらにフェノールによる硬化を行った。フェノール硬化では硬化温度を上げてもTgおよびエポキシ基の残存量は変化せず, 最終的にエポキシ基が硬化物中に残存してしまうことが確認された。この二つの反応系における現象の違いは硬化物中の末端官能基の動きやすさに起因していると推定された。