抄録
フェノール類 (P) とホルムアルデヒド (F) からのビスフェノール (BIP) 生成反応において, ある種の溶媒を共存させて反応系に相分離構造を形成させ, 物質移動を制御することにより分子量制御効果が現われることを見出した。
比較的水溶性の高いフェノール (Ph) ではトルエン等の不活性な非水溶性溶剤を水と共存させることにより, 水溶性の低いo-クレゾール (o-C) では水だけの添加で相分離構造を形成し, 分子量制御効果と共にBIP異性体中のp-選択率も高くなった。マスバランスを調査し, 酸触媒の大部分は水相に, 生成したBIPの大部分は油相に分配していることを実証した。
触媒種としては蓚酸, 塩酸等の親水性の強い酸が効果的であり, 芳香族スルホン酸等の比較的親油性の酸を用いると, 相分離反応でも分子量制御効果は現われなかった。
相分離構造の導入により均一相反応と比較して, 同一のF/Pモル比では多核体が少なく, p-選択率の高いBIPが得られた。また, 同程度の多核体含有量のBIPを得るにはF/Pモル比を約2.5倍高くでき, BIP収率を飛躍的に高くできた。