抄録
塩酸水溶液中のメラミンの紫外吸収スペクトルは水溶液で測定したスペクトルと比べて吸収帯の位置と強度が異っている。このことはプロトン (H+) 付加によるものである。メラミンではH+付加の起る場所としてトリアジン環のN原子とNH2基のN原子が考えられる。この論文では (1) モノカチオンにおいてはH+は環のN原子とNH2基のN原子のどちらに付加しやすいか, (2) ジカチオンにおけるH+付加の位置, (3) モノおよびジカチオンモデルに期待されるUVスペクトルの理論曲線と測定されるメラミンカチオンのUVスペクトルの関係を調べた。この結果, 我々が使用した0.1N程度の塩酸水溶液中のメラミンはトリアジン環のN原子にH+が付加したモノカチオンが主体であることが判った。高いH+濃度においてはジカチオンを考慮しなければならないが, UVスペクトルの理論曲線から考えると環のN原子に2個のH+がそれぞれ付加したモデルが有力と考えられる。