熱硬化性樹脂
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フェノール樹脂およびエポキシ樹脂硬化物の可溶化と成形材料としての再利用
堀内 光幅田 明徳
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1983 年 4 巻 2 号 p. 63-68

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抄録
フェノール樹脂硬化物廃物の再生利用を目的として, 既報の酸によるフェノール樹脂分子の分解再結合反応を利用して硬化樹脂を可溶化したのち, 成形材料に導くことを試みた。すなわち, 硬化注型樹脂, 一段法および二段法樹脂の成形品, 紙および布基材積層板を微粉砕し, 大過剰の石炭酸および少量のρ-トルエンスルホン酸を加えて還流下に加熱して硬化樹脂を可溶化したのち, 可溶化樹脂の石炭酸溶液にホルマリンを加えて反応系の全量をノボラックに導いた。可溶化に要する時間は各試料とも3~5時間であったが, 注型樹脂の場合にのみ僅か数分で試料は完全に溶解した。この結果から, 注型樹脂では架橋密度や架橋手のタイプが他の樹脂のそれと大幅に異なっていることが推定された。
なお, アミン硬化および酸無水物硬化のエポキシ樹脂も同様な手法で可溶化したのち, ノボラックに導くことができた。
これら再生ノボラックから常法に従って成形材料を調製し, これらから得た圧縮成形品について機械的および電気的性能を検討した結果, 別途に自製した二段法樹脂成形材料のそれと実用的にはほぼ同等であることが認められた。
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