自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)は社会的コミュニケーションの障害とこだわり,注意欠如多動症(ADHD:Attention Deficit/Hyperactivity Disorder)は年齢にそぐわない不注意と多動・衝動が中核症状です.このように中核症状が異なる2つの発達障害ですが,症状は重複することが知られています.さらに,不注意が中核症状のADHDはもちろんのこと,ASDの中核症状である社会的コミュニケーションの障害とこだわり・反復的常同的行為においても注意が関連しているものの,注意との関連はASDとADHDでは異なります.ここでは,ASDとADHDの脳の類似性と相違性についてご紹介し,その上で最新の研究から注意がASDとADHDの異なるが重複するという関係を解明する鍵となる可能性について触れたいと考えています.