神経心理学
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教育講演1
次代を担う若手研究者交流シンポジウム2 座長記
次代を担う若手研究者交流シンポジウム2
  • 川上 暢子
    原稿種別: 次代を担う若手研究者交流シンポジウム2
    2026 年42 巻2 号 p. 138-145
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    原発性進行性失語(PPA)では,中枢性聴覚認知障害の一つとして語音認知障害がみられる.本稿では,語音認知障害を呈した意味性認知症型PPAの1症例を提示するとともに,PPA患者群を対象に語音認知能力を評価し,神経心理学的検査,聴覚機能,神経画像との関連を検討した研究を報告する.PPAのいずれのサブタイプにおいても,末梢聴覚機能では説明できない語音認知機能の低下が生じる可能性が示された.これは疾患進行に伴う両側上側頭回および側頭平面の機能低下の関与が示唆された.PPAでは失語症状の進行も伴うため聴覚認知障害への気づきや評価が難しく,経過を意識した観察が重要と考えられた.

  • 垰夲 大喜, 西尾 慶之
    原稿種別: 次代を担う若手研究者交流シンポジウム2
    2026 年42 巻2 号 p. 146-151
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    せん妄とDLB(dementia with Lewy bodies)は密接に関連している.2020年の前駆期DLBの研究診断基準において,「delirium-onset prodromal DLB」が提唱されたが,その病態は未だ十分に解明されていない.

    自験例8例のケースシリーズでは,全例でせん妄発症前からDLBを示唆する症状を認め,遷延・反復・低リスク状況下でのせん妄が特徴的であった.遷延するせん妄やせん妄後の認知障害に対してドネペジルが有効であった.現在,せん妄とDLBの病態を解明すべく,消化管手術症例を対象に,切除標本のリン酸化αシヌクレイン染色を用いた前向き研究を行っている.

  • ~アセスメントの質の向上を目指して~
    茶谷 佳宏
    原稿種別: 次代を担う若手研究者交流シンポジウム2
    2026 年42 巻2 号 p. 152-158
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    患者を適切にアセスメントするためには,臨床で実施する神経心理検査や課題が何を評価しているのかを理解しておくことが重要である.本稿では,「論理的記憶は何を見ているのか」という疑問を出発点とした2つの研究を紹介する.研究①では論理的記憶に関連する因子を重回帰分析により検討し,直後再生には言語性記憶・知識・遂行機能,遅延再生には言語性記憶・視覚性記憶・知識が関連した.研究②では局所脳血流との相関解析を行い,直後再生は左角回と楔前部,遅延再生は両側角回と楔前部の脳血流と正の相関を示した.これらの研究は臨床場面における神経心理アセスメントの再考につながる可能性がある.

  • 失読患者のリハビリテーションと読み書きに困難を示す小学生への支援の実践
    Shotaro Murata, Takatsugu Murakawa, Atsushi Yamagishi, Yuki Saito, Tor ...
    原稿種別: 次代を担う若手研究者交流シンポジウム2
    2026 年42 巻2 号 p. 159-165
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    読み書きの障害には失語症に伴うもの,脳局所損傷による孤立性の失読や失書,発達段階に生じる発達性ディスレクシアなどがあるが,いずれも神経心理学の知識をもつ臨床家が診ることで,読み書き障害の機序とリハビリテーションの手掛かりを得やすくなる.本稿では,筆者がこれまで取り組んできた症候分析を基盤とした失読のリハビリテーションの実践例と,読み書きに困難を示す小学生への支援を紹介する.前段では文字を見なければ読める純粋失読の1例を,後段では教員と協同し読み書きに困難を示す小学生を早期に発見し支援を始めるシステムの定着に向けた試みや,読み書き困難と関連する学校での困難の分析と支援の工夫について述べる.

  • 山田 麻和
    原稿種別: 次代を担う若手研究者交流シンポジウム2
    2026 年42 巻2 号 p. 166-171
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    脳神経疾患のリハビリテーションでは,潜在的な高次脳機能障害や稀少な症候,患者の隠れた困りごとを見逃さず,支援することは容易ではない.臨床場面では,日々の関わりの中で私たちセラピストが常にアンテナを張り,何かおかしいと気付くことが始まりである.症候の同定には,丁寧な観察に加え,画像診断との整合性の検討や文献的考察を組み合わせるプロセスが不可欠である.本稿では,スタッフの疑問を大切にし,適切な評価・分析を実践できる人材育成を目指した当院の取り組みを,臨床的知見につながった4例の症例とともに紹介する.

特別企画:神経心理学の素朴な疑問に答える1
  • 鈴木 匡子
    原稿種別: 特別企画:神経心理学の素朴な疑問に答える1
    2026 年42 巻2 号 p. 172-176
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    視空間認知障害と視覚構成障害は類似の概念として明確に区別せずに使われる場合がある.しかし,広義の視空間認知障害は視空間的処理の障害の包括的な概念で,視覚構成障害は視覚情報を使って形作ることの障害である.したがって,視覚構成障害の大部分は広義の視空間認知障害に含まれる.視空間認知障害には,構成行為を伴わない空間関係・表象の認知の障害,地誌的失見当等も含まれる.視空間認知に関連する症状として,視覚―運動変換障害による到達運動の障害がある.視空間認知障害には頭頂葉を中心とした視覚背側路および注意のネットワークの損傷が関連する.神経診察で視空間認知障害は見逃されやすく,適切な評価・診断が求められる.

  • 中川 賀嗣
    原稿種別: 特別企画:神経心理学の素朴な疑問に答える1
    2026 年42 巻2 号 p. 177-183
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    パントマイムの失行(古典的には観念運動失行)は,失行の定義を満たしながら,パントマイム動作に障害がみられる症候である.パントマイムの失行例で障害される動作は,“おいでおいで”などの「信号動作」のパントマイムと,ハサミなどの「道具の使用動作」のパントマイムである.本稿ではこの2つの動作のうち,使用動作の障害に着目し,読者がその臨床的意義を考える一助となるように,その発現機序とされる幾つかの可能性を紹介した.すなわち従来の3つの想定機序を紹介し,さらに比較的新しい考え方として「アフォーダンスの障害」と「基本的な動作駆動機構の障害」を挙げた.

  • 永井 知代子
    原稿種別: 特別企画:神経心理学の素朴な疑問に答える1
    2026 年42 巻2 号 p. 184-193
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    Gerstmann症候群は,手指失認・左右失認・失書・失算からなる臨床症候群である.その存在意義を巡って大きな論争を巻き起こし,一時は否定されかけたが,研究法の発展と研究者たちの詳細な検討により,現代では新たな視点で捉えられている.本稿では,論争に一区切りつけることになったBentonの提言までの歴史をまとめ,その後の研究の展開について述べる.神経基盤に関しては,Gerstmannが当初主張していた角回皮質よりも,むしろその皮質下で離断が生じることが原因らしいというRusconiらの意見が浸透している.機能的基盤としては,心的イメージ操作障害などの関与が示唆されている.現代では病巣の広がりの指標としての臨床的意義があると言える.

  • ~どのように区別するのか~
    松田 実
    原稿種別: 特別企画:神経心理学の素朴な疑問に答える1
    2026 年42 巻2 号 p. 194-200
    発行日: 2026/06/25
    公開日: 2026/07/29
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    失語における発話の流暢性とは発話の滑らかさの評価であって,途切れ途切れでスムーズではない発話が非流暢性発話であり,内容は無視して外形的に滑らかな発話は流暢性発話である.典型的な非流暢性発話と流暢性発話を聴覚印象で判別することは困難ではなく,聴覚印象で判別できない発話を無理に流暢―非流暢に分別することは,流暢性概念の創始者であるBoston学派も意味がないと述べている.ただ流暢性を連続指数として評価する試みは,phrase lengthにはじまって現在も続けられており,現在は発話速度や平均発話長を重視する文献が多い.臨床的には発話の流暢性をランク付けすることよりも,個々の患者の発話障害の本質を見抜いて治療目標を明確にすることの方が重要と考える.非流暢性発話の原因としては主に,発語失行,自由発話での喚語困難,失文法が重視されている.

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