論文ID: 17053
健常者242名と脳損傷者76名におけるThe Cambridge Prospective Memory Testの時間ベースと事象ベースの課題形式別に存在想起と内容想起について因子構造を検討した.健常群の第1因子は「時間・暗示的手がかりにもとづく展望記憶」,第2因子は「明示的手がかりにもとづく展望記憶」と解釈され,各因子ともビジランスが関連した.脳損傷者の第1因子は「手がかり情報どおりに想起する展望記憶」,第2因子は「遂行内容の記憶」,第3因子は「手がかりを構造化する展望記憶」と解釈された.因子妥当性は想起の形式および記銘時の手がかり情報の特性を反映し,注意・記憶・遂行機能が関連していた.