Host: Association of Next Generation Scientists Seminar in The Japanese Pharmacologigal Society
Name : Association of Next Generation Scientists Seminar in The Japanese Pharmacologigal Society 2024 in Iwate
Number : 1
Location : [in Japanese]
Date : September 21, 2024
Toll-likereceptor(TLR)やCaspase(CASP)ファミリーを介する炎症・細胞死応答は、外来性の病原体成分だけでなく、生体内で生じた内因性リガンドによっても惹起される。近年の研究により、それらの内因性リガンドが、がんやメタボリックシンドロームをはじめとする多様な疾患の増悪因子となることが示されており、その全容解明に向けた探索が続いている。演者ら(東北医科薬科大学・薬学部在籍時)の研究グループでは、血清中に存在するスフィンゴ糖脂質:ガングリオシドGM3およびグロボ系糖脂質Gb3が、リポ多糖受容体:TLR4の内因性リガンドとして作用すること、その生理活性が脂質部分(セラミド)のアシル鎖構造(鎖長や不飽和度)の違いによって制御されることを明らかにしてきた[KanohH et al, EMBO J. 39: e101732, 2020 / Nitta T, Kanoh H, et al,Glycobiology 29: 260-268,2019]。さらに最近、ガングリオシドGM3が、細胞内リポ多糖受容体の内因性リガンドとしても作用し、炎症性細胞死のひとつであるパイロトーシスの活性化制御に関与する可能性を見出した(未発表)。本演題では、スフィンゴ糖脂質を内因性リガンドとした炎症・細胞死の分子メカニズムについて、国内外の研究動向を交えてご紹介する。