Supplement of Association of Next Generation Scientists Seminar in The Japanese Pharmacologigal Society
Online ISSN : 2436-7567
2024 Iwate
Session ID : 2024.1_AG2
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[title in Japanese]
*Yoshiaki SuzukiRubii KondoYuji ImaizumiHisao Yamamura
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Ca2+チャネルは下流の Ca2+感受性分子と複合体を形成して刺激特異的に情報を伝達する。この局所的なCa2+シグナルにより情報が伝達される微小領域をCa2+マイクロドメインと呼ぶ。Ca2+マイクロドメインの形成には、種々のシグナル分子を局在化させる足場タンパク質が重要である。我々は、足場タンパク質カベオリン(cav)-1により血管平滑筋細胞(VSMC)の細胞膜近傍に形成されたCa2+マイクロドメインが、血管の収縮性を適切に制御することを明らかにした(JBiol Chem, 2013; J Biol Chem,2019)。動脈に対する様々なストレス負荷は血管構造の再構築(血管リモデリング)を引き起こし、多様な循環器疾患を引き起こす。しかし、血管リモデリングの発生および成熟に関する機序については不明な点が多い。我々は、動脈に持続的な圧負荷が加わると、細胞内Ca2+濃度([Ca2+]cyt)上昇がcav1によって形成されたCa2+マイクロドメインにおいて、興奮転写連関(E-Tcoupling)により炎症促進遺伝子群の転写に変換されることを発見した。これにより、マクロファージの血管壁への集積と炎症によるVSMCの脱分化・増殖が誘発され、血管リモデリングが「発生」するという新たな概念の提案に至った(PNAS,2022; Biol Pharm Bull,2022)。VSMCは種々の刺激に応じて部分的に脱分化し、増殖型VSMC(pVSMC)に変化する。pVSMCがCa2+シグナリングを介して増殖や遊走することで病変が「成熟」し、動脈硬化を基礎とする多様な疾患につながる。我々は、細胞膜-小胞体架橋分子ジャンクトフィリン(JP)-2が、Ca2+遊離活性化Ca2+(CRAC)チャネルを中心とするCa2+マイクロドメインを形成し、カルシニューリン・NFAT系を駆動することでVSMCの増殖に関与することを見出した。以上より、VSMCのCa2+マイクロドメインは、正常な血管機能のみならず、E-Tcouplingを介して血管リモデリングの発生と成熟の両方に関与すると考えられる。

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