早稲田大学高等学院
1984 年 33 巻 12 号 p. 54-63
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内田百聞の『阿房列車』『第二阿房列車』『第三阿房列車』は、いわゆる紀行文ではない。崇拝する師・漱石の『坊つちゃん』のメカニズムの影響がある小説である。自己の気質を誇張して、反語としての「阿房」を造形したのである。我儘、殿様・「官僚的」気質、無用性がそれである。そのことによって、戦後のお仕着せの民主主義に反抗し、人間が生産拡大と功利追求のための道具として存在することを拒否してみせたのである。
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