日本文学
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漱石『三四郎』一考
末盛 三枝子
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1984 年 33 巻 7 号 p. 60-68

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抄録

本稿では、『三四郎』での美禰子と三四郎の重なる出会いを鏡との関連から考えている。水鏡、鏡、肖像画と、美禰子と三四郎は鏡の中の出会いを持つ。鏡は単なる小道具ではなく、古代的、呪術的な要素を持っている。激石の他の作品『草秋』『夢十夜』『明暗』等でも、鏡は意味を持って描かれている。美禰子は、漱石の内部から生れた夢の女であり、激石は鏡という咒具を通して、女の深層へ錘をおろしている。

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© 1984 日本文学協会
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