作新学院女子短期大学
1985 年 34 巻 10 号 p. 24-32
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『雨月物語』の終篇である「貧福論」は、たんに秋成の金銭に関する論議を描いたものとして読むべきではない。彼が富者の倫理性について語りながら、胸のうちにあるものは養父上田茂助の姿であった。今や、養父の希望に反して商人としての道を放棄した秋成が、亡き茂助への感謝と敬愛とをこめて鎮魂の歌を奉げたものが「貧福論」である。蓄財の才に長け、同時に倫理性の高い茂助こそ富者の鑑として秋成は賛美している。
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