日本文学
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「夜汽車」からの眺め : 萩原朔太郎の身体空間(<特集>近代詩・詩表現の場)
高橋 世織
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1985 年 34 巻 11 号 p. 12-22

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抄録

朔太郎と関わりの深い、しかも見ることを意識化させる装置=暗箱と構造的に類縁である汽車の車窓を、眼指やことばが生成され、イメージ定着の場として、つまり身体空間のトポロジーとして実質的処女作「夜汽車」を読み直す。意識主体を囲繞する時代の物質=硝子と、その身体への浸透や等質化現象(物質的想像力)とも関連する。乗り物(身体移動の空間)に身をゆだねた時の身体感覚の開放と、見ることの共有性とによって、他者と連帯をはかる<共同椅子>の詩想といったことも考えることになる。

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© 1985 日本文学協会
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