日本文学
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『俊頼髄脳』の歌語と説話 : <異名>からの接近
小川 豊生
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1986 年 35 巻 10 号 p. 56-66

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抄録
平安後期の歌語をめぐる<歌学的歌語り>とは、言語的基層の変動がもたらす<名>と<物>との同定の混乱に乗じて、形成されたものではなかったか。言葉が志向対象(実体)との関係を見失った時機にこそ、新たな本説の恣意的生産が可能となった。俊頼の注釈営為に、伝承の共同性から逸脱しようとする志向が窺えるのも、受容の際の誤認として批判し去るべきものでなく、伝承からの恣意的な屈曲と見るべきものが多いと考える。
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© 1986 日本文学協会
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