日本文学
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覚一本『平家物語』における安徳帝の脈絡
榊原 千鶴
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1988 年 37 巻 12 号 p. 19-29

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抄録

『平家物語』の終わり近く、建礼門院は自らの体験を六道に擬して語り、龍宮城の夢に言い及ぶ。覚一本はこの夢を通じて、安徳帝に救済にかかわる意味を付与する。覚一本において形作られた安徳帝を語る物語の脈絡は、法華経の提婆達多品にみえる龍女成仏の説を媒介することで、救済の主題を担っているのである。本稿では、その物語の脈絡を明らかにし、龍宮城の夢の意図するところを考察した。

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© 1988 日本文学協会
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