日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
『撰集杪』の作品と語り手西行の位相
山口 眞琴
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 37 巻 6 号 p. 72-91

詳細
抄録

『撰集抄』の序にある「過忙しかた四十余年」が天台五時教判に拠るとする解釈をてこに、まず大鏡の語りや源氏物語蛍巻の物語論、中世源語古注釈の享受認識を手懸かりとして、法華経に対する<方便の諸教>に比定される撰集抄の<物語>としての位相を狂言綺語観とからめて考察し、それに連動する語り手の<愚者>の位相を語りの機能面より検討を加えながら、併せて西行仮托にちなむ<往生者>の面影との二重性という観点から作品の機構をとらえ直した。

著者関連情報
© 1988 日本文学協会
前の記事 次の記事
feedback
Top