日本文学
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母の<付帳> : 『春昼』『春昼後刻』に見える不可解なメッセージ○△□を読む
塩崎 文雄
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1989 年 38 巻 12 号 p. 1-12

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抄録

泉鏡花の『春昼』『春昼後刻』には、不可解なメッセージ○△□が二度にわたって出現するばかりでなく、両者ともきわめて重要な挿話を形成している。それだけに、従来からその読みをめぐって、さまざまな解釈が試みられている。本稿は、○△□は鏡花の謡曲体験から生まれたものではないか。しかもそれは、母の遺愛の、<付帳>と呼ばれる大鼓の楽譜の図像体験に媒介され、培われたものではないか、といった仮説を提起したものである。

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© 1989 日本文学協会
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