日本文学
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堀景山著『不尽言』序説 : 恋愛論を超えて
マルソー ローレンス
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1993 年 42 巻 11 号 p. 47-52

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抄録

堀景山(一六八八-一七五七)が晩年著した『不尽言』の中に、それまでになかった柔軟性に富んだ恋愛論が述べられているのは周知のことである。殊に景山のこの恋愛論が若き本居宣長に大きく影響を与えたのも動かぬ事実として見てよいだろう。しかし『不尽言』には、宣長の主張と著しく異なる発言や、宣長の文学論・思想と無関係の項目が多く含まれているということも注目に値する。今回の発表において、『不尽言』の内容を再分析し、その全体を通しての性格を見出してみたい。この試みによって、『不尽言』における景山の思想をより正確に理解することが期待できるだろう。これと同時に、景山の思想が、宣長との関係とは別に、如何に当時の知識人に読まれ、解釈されていたかという問題へも展開できると思われるのである。

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© 1993 日本文学協会
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