日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
物語の知のために
跡上 史郎
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1996 年 45 巻 6 号 p. 31-40

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抄録

物語は物語を批判し、留保や注釈をつけながら、物語ならざるなにものかの相貌をまとってあらわれてくる。物語からは原理的に逃れられないのだとすれば、物語との緊張関係を生きるための知が必要なのではないだろうか。澁澤龍彦は、一九八〇年代に流行した「物語批判」に関心を寄せつつ、「反物語」「反反物語」を試みた。物語の知の可能性を、九〇年代のいまなお潜在的にも顕在的にも影響力を行使している「物語批判」の側面から逆照射する。

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© 1996 日本文学協会
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