広島県立大学
鈴峯女子短期大学
1997 年 46 巻 1 号 p. 54-64
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『浮雲』の文三とお勢の二人は、意識の上では西洋主義にのっとった近代的な「男女交際」を希求しているのだが、現実には、文三は旧弊な「家」や「男」としての役割意識にとらわれ、お勢もやがて現実的な「結婚」へと流されていく。本稿では、こうした二人の意識と現実の二重性を、母親との関係から解読した。文三は、故郷の母に代わる母性幻想をお勢に抱いたのであり、一方、お勢の変貌は、母・お政の導きによるものであった。
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