日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
夢想する《和語》 : 中世の歴史叙述と文字の神話学(<特集>中世の<歴史的叙述>と<教育>)
小川 豊生
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 46 巻 7 号 p. 30-39

詳細
抄録

碩学の誉れたかい浄土宗第七祖了誉聖冏は、その『古今序註』において、「ヤマトコトバハ本、神代ノ語ナレバ梵音ノマヽ也」とする、現在のわれわれの言語認識とは隔たった、特異な和語観を披瀝している。だがそれは決して例外的な認識であるのではなく、類似した言説を中世のテキストからいくつか拾うことができる。これらの検討によって、〈天上の梵言〉=和語という認識の背景に、文字の根源を倒錯的に夢想する特異な有りようや、梵天思想に立脚した新たな神話トポス創出への動向を読み取ることが可能だと思われる。

著者関連情報
© 1997 日本文学協会
前の記事 次の記事
feedback
Top