明治大学
1998 年 47 巻 10 号 p. 37-47
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大田南畝の狂詩・狂歌には明るい開放的な「笑い」が満ちている。かたや正格の漢詩文を集成した自筆詩稿『南畝集』には現実肯定的な「笑い」はむしろ稀であり、漢詩文特有のポーズとばかりは見なし得ない悔恨・慙愧・絶望といった暗い心情を窺わせる作が目立つ。同じ「笑い」といっても情念の翳りを反映する自嘲が過半を占めるわけだ。自嘲の矛先は、南畝の下級官吏としての境遇や、詩文の才の欠如、戯作に手を染めて虚名を博したことなどの諸点に向けられている。
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