2001 年 50 巻 8 号 p. 20-33
本稿は、文学教育における<読み>の問題について、「舞姫」の授業実践を例に考察したものである。今日、一斉授業の行き詰まりから、教師-生徒関係を水平化しようとする情勢の中で、学び手の「個性」が安易に語られる現状が文学の<読み>の問題においてもある。一方、教室では制度的な<読み方>の「文法」が根強く残っている。この双方を射程に入れ、乗り越えるための具体的実践として、「舞姫」という文学作品の内奥に迫るための学習課題を提起し、さらに生徒の<読み>に教師の<読み方>を対峙させていく方法の是非について論じた。