日本文学
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近世における「風景」の発見 : 柄谷行人説を糺す(<特集>近世の視覚-色彩・構図・風景-)
堀切 実
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2002 年 51 巻 10 号 p. 1-10

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抄録

柄谷行人の名著『日本近代文学の起源』によれば、自らの感性の覚醒に基づく客体としての"風景"の発見は、近世以前の文学にはなかったものだという。明治二十年代以前にあったのは、先験的風景を借りた表現のおもしろさであり、「もの」や「自然」を対象として眺める認識主体は確立されていなかったという。本稿では、広く近世の文学作品を見渡しつつ、こうした説への反証をあげ、近世においても、すでに「実景」を見る目が開かれつつあったことを提言する。

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© 2002 日本文学協会
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