名古屋大学
2002 年 51 巻 12 号 p. 31-40
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伝阿仏尼作『にはのをしへ』に始まるとされる女訓書が軍記物語との近接を試みたとき、女性が学ぶことに表現を与えるうえでひとつの転機が訪れた。軍記物語が描く女性像は、たとえば和歌を用いての叙述に<色好み>の要素を残しつつも、結果的には、儒教的な教えに沿いながら、夫や子、家や国に献身を強いる武士的世界を生きている。暴力による他者支配の構造に根元的に関わるこうした女性像は、中世から近代にいたる女性教育の変遷のなかで、確実のその政治的役割を果たしつつ享受されてきた。
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