立教大学大学院
2006 年 55 巻 11 号 p. 2-10
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一九五二年の講和条約を契機に忘却された敗戦時の記憶のひとつとして、時代の過渡期に出現した戦争未亡人に課せられた困難な状況を、戦後の早い時期に同時代に訴えた作品として「うず潮」を評価し読み直す。それとともに、主人公の結婚という形での終幕に影を落とす「怖れ」の描写が暗示する未来への不安を、今日的視点から日本国家の欺瞞に満ちた戦後処理に対する批判として捉えて読むことを試みた論である。
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