日本文学
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万葉の「人言」 : 尼理願挽歌を起点として(<特集>古代文学における<風聞>)
松田 浩
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2007 年 56 巻 5 号 p. 22-29

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抄録

上代文献の中で『万葉集』にのみ見られる噂を意味する「人言」は、恋歌に集中して見られるため、従来「人言」は恋歌の機能、または恋愛の信仰・習俗の側から論じられてきた。しかし歌語「人言」の定位を考えるのであれば、恋歌以外の「人言」をも包括的に論じうる噂の論理が必要となる。本稿は、「尼理願挽歌」の左注において「人言」が「遠く王徳を感ず」と表現されることに注目し、王徳・聖朝・噂という視点から歌語「人言」を論じたものである。

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© 2007 日本文学協会
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