日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
<予言文学>の射程 : 過去と未来をつなぐ(<特集><過去>と<未来>を結ぶ中世)
小峯 和明
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 59 巻 7 号 p. 2-12

詳細
抄録

中世の予言書・未来記研究に端を発して、これに託宣書・夢想記・遺言書・置文などの未来へのメッセージを指向するテクスト群の総称として<予言文学>なる新概念を提起し、その範疇を検証した。未来に向けた予言や提言が過去をとらえ返し、現在を見つめ直す表現の機制を解析し、必然的に過去と未来をつなぐ歴史叙述となる具体相を明らかにし、特に従来あまりとりあげられることのなかった「置文」について言及、また既知の文芸も<予言文学>の観点から読み直しができることを『今昔物語集』を例に取り上げ、さらには<予言文学>を東アジアから追究すべき課題として提言した。

著者関連情報
© 2010 日本文学協会
前の記事 次の記事
feedback
Top