2013 年 62 巻 11 号 p. 2-12
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著名な二つの文学賞、直木三十五賞と芥川龍之介賞について、次のような俗説が多くの文献で紹介されている。「もともと菊池寛が、雑誌の売上の落ち込むニッパチ(二月・八月)対策として、雑誌を宣伝するために設けた」。この真偽を判別し、その上で、流言の発生源と流布にいたった経緯を探る。そして両賞には、広く存在が知られているという性質と、内実に興味を向ける人の少ない性質とが、不可分に混在していることを確認する。