日本文学
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Print ISSN : 0386-9903
 
『児雷也豪傑譚』における蛇の物語
佐藤 至子
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2013 年 62 巻 4 号 p. 53-62

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抄録

『児雷也豪傑譚』は蝦蟇と蛇の対立を物語の軸とする。十一編までの第一部は〈蛇の怨念が人間に憑いて児雷也につきまとう物語〉であり、十二編以降の第二部は蝦蟇(児雷也)と蛇(大蛇丸)を含み込む集団的抗争の物語となっている。第一部・第二部に共通する方法として、蛇をめぐる挿話に既存の文芸で培われた様々な蛇のイメージをはめこんでいく点が指摘できる。第一部終盤における三すくみの導入は新たな構想への布石であり、民間の俗信をふまえることで物語に合理性を与える方策でもあった。

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