日本文学
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草双紙における魂図像の変遷
――『心学早染草』善玉悪玉の図像の成立まで――
関原 彩
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2015 年 64 巻 9 号 p. 28-38

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抄録

『心学早染草』の善玉悪玉の図像の先蹤を探るため、これまで総合的にとらえられてこなかった魂の図像の変遷について考察した。その結果、歌舞伎の演出と『延寿反魂談』の魂の意味が重要であるとの結論を得た。黒本青本や初期の黄表紙において、「心」の字を入れた炎を、殺された人の魂として描いていたが、これらは魂を丸に「心」で表わした歌舞伎の演出の影響である。また、『延寿反魂談』になると、霊魂という意味ではなく〈性格を伴う心理〉という意味が付け加えられる。

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